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経済人のコラム 時局寸評

TOP 経済人のコラム(時局寸評) 地方分散より分権を

地方分散より分権を

 地方にとって、急速に進む人口減少は深刻な問題である。

その対極としてやり玉に挙がるのが、「東京への一極集中」だ。出生率が全国で最低の東京に人口が集中することで、日本全体の人口減少につながっているとの指摘もある。

しかし、ここにはいくつか認識の誤りが存在する。
確かに都道府県別にみれば、過去5年間の人口増加率は、東京が沖縄県を除き最も高い。とはいえ、市町村レベルでは、福岡市や札幌市などの中核都市の人口は、東京23区と同等かそれ以上のペースで増えている。多極的に集中が進んでいるのだ。山梨でも、昭和町の人口増加率は全国有数の高さだ。

便利なところには、自然と人が集まる。そこには小売りやサービスなど新たなビジネスが誕生し、雇用を生み出すことでさらに人が集まる。高齢化社会はこうした傾向に拍車をかける。お年寄りは行動範囲が限られるからだ。

 集中には、経済の効率性を高める効果がある。それを人為的に防ぐことは生産的ではない。
「東京一極集中」の是正策として、中央官庁や企業本社の地方移転が提案されるが、実現が難しいのは、効率性が落ちるからだ。

東京は、出生率が低い一方で婚姻率は全国で最も高い。集中が出会いの機会を増やしている。結婚しても子供を産まないのは、女性のキャリア志向が強い一方、子育て支援が不十分なためだろう。東京にも解決すべき課題があるということだ。

 それでは、地方創生をどうするべきか。

筆者は、地方に権限や財源を大胆に移管する分権が必要と考える。
他方、補助金や公共工事などの中央依存は減らす。
地方が自らの問題に、自ら工夫して解決策を考え、責任をもって実行することが、真の地方自治ではないか。