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経済人のコラム 時局寸評

TOP 経済人のコラム(時局寸評) 自らの地域を深く知る機会に~やまなし国文祭を盛り上げよう!~

自らの地域を深く知る機会に~やまなし国文祭を盛り上げよう!~

 第28 回国民文化祭やまなし2013「文化の風とあそぶ~みつめる・こえる・つなげる」が平成25 年1 月25 日から11 月10 日まで303 日間にわたって山梨県各地で開催される(現時点で95 の事業)。

 しかしながら残念なことに「国文祭とは如何なるものか?」「やまなし国文祭の内容は?」を把握している山梨県民は極めて少ないと思われる。
山梨県にとってはせっかくのチャンスなので、このやまなし国文祭を通じて自らの地域を深く知る機会にしたいものである。

 まず国文祭の本来の目的は、各地域に根付いている文化・伝統に光を当てることにより、ともすると担い手不足等で縮小が進んでしまっている「大切な文化・伝統の裾野を広げ、世代交代も含めた継承を進める」ことだと理解している。
もちろん「観光資源」としての役割もあろうが、この本来の目的から考えても、山梨県民一人一人が積極的に国文祭に興味を持ち、「自ら関わる」ことが必要だと思う。

 告知不足にも一因があろうが、県民すべてが「自ら関わる」という精神の元、ホームページや無料冊子などから情報をとることが必要である。また、興味があるイベントや事業については少し予習した上で実際に現場に赴き五感で感じることが良い。

 テレビをつければ労せず情報が得られることに慣れてしまった日本人は、手間を掛けて自ら情報を摂ることや、実際に確かめることをおろそかにしているように思う。
その結果、直接的に自分に関わること以外は他人事のように「無関心」になっているのではないだろうか?

 地域の活性化には、「まずは地域を知ること、その結果地域に愛着を感じ、我がことのように地域のことを考え、地域が良くなるために行動を起こすようになり、さらには地域に誇りを感じるようになる」プロセスが必要だと思う。

 山梨県民にとってまたとないチャンスである国文祭を通じて、まずは自らの地域を深く知る機会にするべきである。

 「自らの地域を深く知ること」つながりで、間もなく九十歳にもなろうかという料理研究家辰巳芳子さんの言葉を紹介する。『人は、自分の持っているモノと、持っていないモノとの区別がつかないと、希望のよすが(縁)を見付けられない。そして、その区別が分からないと、希望が空回りする。』

辰巳さんは、最近の日本人は、自分の持っているモノの魅力に気が付かなくなっていることを嘆く。

『例えば、人と同じ商品を輸出すれば、激しい競争にさらされてしまう。しかし、日本にしかないモノを輸出すれば、知らない間に世界を席巻して、独壇場になることができる。
“らっきょ”、あんな小さなネギは、世界のどこにもない。肉を食べる西欧の人達に、きっと喜ばれる。
また、“梅”を国連に買ってもらって、難民のキャンプに持ち込めば、食中毒の予防になるし、梅肉を食べていたら、血管を強くして、病気にならない。無農薬で有機栽培の梅の木をいっぱい植えて、世界に輸出する。
日本茶も、味と共に、健康に良いと、西欧の金持の間では引っ張りだこだ。』

 日本にしか育たない、日本でしか常用しない、日本に伝統的に根付いている、そんなモノが、辰巳先生の言う、「自分の持てる魅力的なモノに気が付く」ことだ。

 憂国の士である辰巳さんのことばを胸に、国文祭を大きな気づきの場、そして地域活性化のきっかけにしたいものである。