経済人のコラム 時局寸評

地域金融の未来と信用金庫の役割
私が社会人となった昭和の終わりは、プラザ合意によりバブル期へ突入したものの、好景気は長くは続かず、バブル崩壊により一転して不景気に陥った激動の時代でした。その後、「失われた30年」を経て平成から令和に時代が移るなか、現在は、長らく続いたデフレ経済と超低金利政策から脱却し、いわゆる「金利ある世界」へ回帰しました。この日本銀行の政策転換は、単なる金融政策の変更にとどまらず、企業にとって経営を見つめ直す好機であるとも考えられ、地域経済の一端を担う一地域金融機関として、これからの未来を見つめたいと思います。
の県内の中小企業を見渡すと、長引く物価高や慢性的な人手不足といった課題に直面する一方で、新たな事業領域を見出し、設備投資や新規事業に取り組む企業も見受けられます。自社の強みを磨き付加価値を高め、地域に根差した企業が存続・成長していくことが、地域経済の底力を高めることにつながるはずです。立ち向かわなければならない課題は山積していますが、これまでに培われてきた技術や人材、信頼などといった目に見えにくい真の企業価値を、今こそ発揮する局面にあると感じています。自社の足元を見つめ直し、強みを磨き続ける姿勢が問われており、その積み重ねこそが、地域経済の持続的な発展を支える確かな力になると考えています。
の持続可能な地域経済の成長を考える上で、もう一つ忘れてはならない視点があります。それは、次の世代をどう育てるのかという問題です。人口減少が進むなか、地域経済の未来は、企業の数や規模以上に、経済活動の主体となる「人財」の育成に懸かっています。
の近年、金融教育という言葉を聞く機会が増えていますが、これは単にお金の知識を学ぶことだけではなく、働くこと、稼ぐこと、そして正しく使うことの意味について、いかに早い時期から知り、考える機会を得られるかが重要であると考えます。そうしたなか、当金庫では、小学生への金融教育に力を入れており、子供たちが主体となるフリーマーケットの開催や、地元プロバスケチームと連携した取り組みを進めています。このような取り組みを継続し、子供たちの金融リテラシーを高めていくことが、将来の地域経済を支える土壌づくりにつながっていくものと考えています。
の当金庫に求められる役割は、これまでの金融仲介機能だけでなく、地域価値の創造へとつながる地道な活動であり、その真価が問われているところです。地域の未来に対する責任を、いかに具体的な行動として示していけるのか、我々はこの地域に根を張る信用金庫として、その役割を果たしてまいります。